あいつむぎ1月書評


2014 . 01 . 24 12 : 12  コラボ企画「あいつむぎ」
こんにちは!寒い日が続きますね・・・二回生のなこちーです。更新が遅れてしまい申し訳ありません・・・

では、紹介に入る前に小話を一つ。
小さい頃、「虹の根本には金が埋まっている」という言い伝えを聞いたことがありますか?


今回紹介いたしますのは、アイルランドの作家オーエン・コルファーによる児童文学「アルテミス・ファウル 妖精の身代金」です。アイルランド人作家による児童書と言えば、数年前に映画化もされたされた「ダレン・シャン」シリーズが有名ですが、実は本書も、今から十年前に日本でも翻訳された一度映画化されることになっていましたが、取り消されたという経緯があります。
「ダレン・シャン」シリーズも一度似たような流れをたどりました。え?そうだったのか?知らなかったって?

ということで、本の紹介にはいる前に小話を一つ。
この「アルテミス・ファウル」、や「ダレン・シャン」はどちらも同じく2000年代前半に出版された小説ですが、そのころ、児童書界ではとあるシリーズが大きなブームを起こしていました。なんでしょうか?
「ハリー・ポッター」シリーズです。1998年から邦訳が始まったこのシリーズはみなさまもご存じの通り世界的な大流行となり、全作がシリーズとして映画化されました。このハリー・ポッターが巻き起こしたブームは、児童書界全体にも火をつけ、2000年代は児童向けファンタジー小説の出版がまさに百花繚乱、日本にもハリー・ポッターをきっかけに数多くの作品が翻訳され、それに続くようにして「指輪物語」「ナルニア国物語」「ライラの冒険」など、映画化も相次ぎ、書店では「映画化決定!」の帯をつけた本が並びました。
このように、2000年代前半は、児童書にとっては非常に華々しい時代で、「ダレン・シャン」や「アルテミス・ファウル」もまさにその時期に出版され、一度は「映画化決定!」の帯が巻かれていました。ですが。そうした作品がすべて、実際に映画化したわけではありません。先に述べたダレン・シャンは映画化の権利を取得したワーナー・ブラザーズが一度それを手放し、映画化は頓挫してしまいました。紆余曲折の後、権利を取得したユニバーサル・スタジオによって映画が製作されました。
このような例もあるのですが、それはまれで、一度は映画化が決定したものの白紙になってしまったり、続編は作られずそのまま・・・という作品が大多数です。

では、一度映画化が決まった「アルテミス・ファウル」はどうなったのでしょうか。話を戻しましょう。実は、その後映画化が取り消され・・・というルートを一度はたどったのですが、なんと、昨年2013年夏に再び映画化するというニュースが入ってきました。
そこで、祝!映画化!という気持ちを込めて今回、本書を選んだ次第です。

前置きが長くなってしまいましたね。

では、内容の紹介に入りましょう。
主人公はタイトルと同じく「アルテミス・ファウル」。国際的な詐欺を行う一家に生まれた12歳の少年である彼が、自らも犯罪を成し遂げようと、最新のIT技術(刊行当時としては)を用いて手にしようとしているのはおとぎ話の妖精の持っている「黄金」、それも「虹の根本に埋まっている黄金」です。対する妖精たちは、人間たちから身を隠すため長い間をかけて科学技術を発達させており、アルテミスに立ち向かいます
・・・羅列してみるとなんとも荒唐無稽です。特に、設定似ついてみてみれば。
しかし、そのような設定でも全くストーリーを破綻させないまま急展開に次ぐ急展開で、読者をぐいぐいと引き込んでいくのが本書のすごいところ。また、それを探しているのがおとなではなく12歳の少年、というところに絶妙なリアリティがあるのかもしれませんね。

また、本書の魅力は、単に「IT技術を使う少年と妖精の黄金を巡る戦い」というところにはとどまりません。

特におすすめしたい見所は、アルテミスの前に立ちはだかる妖精の警察組織の妖精たちの妙な人間くささとしたたかさです。一丸となって防衛しなければならない、というのに、事件担当チームのトップ争いが起こったり、警察組織への女性登用問題を巡るドラマが繰り広げられたり。
それがドタバタ感に傾いてしまわず、きっちりとラストへ向かっているのがすばらしいです。
また、一見奇想天外な「妖精」の設定も実は伝承に忠実だったりするのもすてきですね。

それでは、今度こそスクリーンで本作をみられることを願いつつ紹介を終わらせたいと思います。
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【1月書評】退出ゲーム


2014 . 01 . 21 21 : 00  コラボ企画「あいつむぎ」
こんばんは!2回生のりるはです。
ブログでは初めまして。以後、よろしくお願いします。

さて、それでは早速ですが本題に入ろうと思います。タイトルどおりあいつむぎ企画の書評ですよ~。
今回僕が紹介するのは ↓↓こちら↓↓


退出ゲーム (角川文庫)退出ゲーム (角川文庫)
(2010/07/24)
初野 晴

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退出ゲームという小説です!
いわゆる「日常の謎」ですね。人の死なないミステリとも呼ばれるものです。
(余談になりますが、最近は日常の謎もついに市民権を得たという感じで増えてきて、僕はとてもうれしいです。)

「退出ゲーム」は、「水の時計」や「漆黒の王子」で有名な初野晴(ファンです。)が書かれている連作短編小説"ハルチカシリーズ"の第一巻になります。単行本も文庫本もあります。

この本を一言で紹介すると、
ミステリ×青春×恋愛×RPG になるかなぁと僕は思います。
え?っとなる部分もあるでしょうが、ひとつずつ要素を解説していきます。

後ろからいきましょう!まず、RPGの部分。
RPGというのはご存知ロールプレイングゲームのことです。
その中でも仲間を集めてひとつの目的を達成するものってよくありますよね。それです、その要素です。

主人公は清水南高校廃部寸前弱小吹奏楽部の初心者フルート奏者、穂村千夏(チカちゃん)。
吹奏楽部なら誰しも夢見る普門館への出場をチカちゃんもまた夢見ています。

しかし、どう考えても人数が足りない!よぉし仲間(部員)を増やそう! 
というノリで仲間集めに奔走するのですが、増える仲間がみんなとても頼もしい!パーティー全体(部全体)のレベルがぐんと上がります。その気持ちよさは本当にRPGのようです。

次、恋愛の要素。
"ハルチカシリーズ"の名を持つとおり、主人公はチカちゃんだけではありません。もう一人絶対に欠かせない存在、それが幼馴染の上条春太(ハルタ)。作中では基本的に探偵役を務めます。
ハルタとチカちゃんでハルチカシリーズなわけです。

しかし、チカちゃんの恋愛対象はハルタではありません。なんと顧問の草壁先生。
このハルタとチカちゃんの微妙な関係が、恋愛小説によくある「おまえらさっさとくっつけよ」というイライラを排除するのに一役買っていて、ストレスなく読めます。先生との禁断?の恋。がんばれチカちゃん。
え、ハルタの好きな人? さあ、誰でしょうね?

続いて、青春
上記二つの要素ですでに青春いっぱいなのですが、ここではちょっと違う面を推したいと思います。
大きく4つの謎が出てくる本書ですが、その謎にかくされた人々の想いがもう、切なくて、苦しくて、輝いて、美しくて……まさに青春なんです。

また、それ以外にも変人が服を着て歩いているような生徒会長:日野原のハチャメチャぶりや、その生徒会長からマークされているブラックリスト十傑のひとり、演劇部部長:名越などなど、高校という舞台を青春という光で輝かせてくれる魅力的な登場人物がたくさんいます。

最後、ミステリ要素ですが、まぁミステリなので当たり前ですね。
ただ、その全ての謎、取り扱うモチーフがもう、魅力的で、わくわくするものなんです。
文化祭準備中に盗まれた劇薬、全ての面が白のルービックキューブ、退出ゲームという即興劇対決、エレファンツブレスという色の分からない色……。

さらに、それらを巧く取り込んだトリックが鮮やかに決まります。
暴かれた真実が本当に日常の謎か、と疑ってしまうほどの重い内容だったりもします。
これ以上言うとネタバレになってしまうので言えないのが悔しいです。


以上です。長々となってしまいましたが、これでも紹介しきれなかった魅力がたくさん詰まった一冊です。気になる方は本書を、"ハルチカシリーズ"を、是非シェリーでお手にとって読んでみてください。

【選書紹介】かのこちゃんとマドレーヌ夫人


2014 . 01 . 16 21 : 00  コラボ企画「あいつむぎ」
どうも。2回生のあんずでございます。
シェリーと共同企画の選書紹介コーナー、参りたいと思います。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)
(2013/01/25)
万城目 学

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今回の本は、『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(著:万城目学)です。とても可愛らしい装丁。
万城目さんは映画化された『プリンセス・トヨトミ』で有名ですね。
先週紹介してくれたチリーンが「猫になりたい」と言っていましたが、今回は猫の短編でございます。
なんたる偶然。

小学一年生のかのこちゃんと、その飼い猫マドレーヌ夫人。
この作品は言うなれば、万城目学流の「吾が輩は猫である」です。マドレーヌ夫人が視点となった章では、猫の常識と人間の生活のズレがコミカルに描かれています。


私がオススメするポイントは2つです。
一つは、穏やかに訪れる別れの描き方。
この作品では、大切な相手との別れがしばしば登場します。
何か事件性があるわけでなく、徐々に近づく別れの時を前に、それぞれのキャラクターは様々な思いを巡らせます。
そして、悲しいだけの別れでなく、決心をもって相手を見送る姿に、キャラクターの強さが見えます。

もう一つは、完全に個人の趣味なのですが、マドレーヌ夫人の夫、老犬の玄三郎です。
猫の妻に犬の夫。異色の組み合わせであることは作中でも言われていますが、二匹は見事なおしどり夫婦。
相手を思いやり、お互いがお互いの力となる。支えあって共にある、理想的な夫婦です。

そして、この玄三郎がまた紳士なんですよ…!
第三章・四章での夫人との会話は、玄三郎が犬であることを承知の上でもキュンときます。
紳士好きの皆様、必見です。



ページ数も多くなく、軽く読める本ですが、珠玉の一冊です。
是非お手にとってみてください。

では。またお会いしましょう(・∀・)

【1月書評】 変身


2014 . 01 . 14 21 : 00  コラボ企画「あいつむぎ」
こんばんはチリーンです!
今回ご紹介する本は、こちらです。

フランツ・カフカ 「変身」
本当ならこの辺りに画像が出るはずだったのですが、私がブログの編集に不慣れなこともあり、
表示できておりません。大変申し訳ないです。


作者のフランツ・カフカは、20世紀を代表する作家ということで、堅苦しく、難解な作品だと思われがちな本作ですが、そんなことはなく、とても読みやすい作品です。


<あらすじ>
セールスマンの仕事で、家族を支えている青年グレゴール・ザムザは、ある朝目覚めると自分が一匹の巨大な虫になっているのに気がついた…
ザムザの運命やいかに?!

唐突にとんでもない出来事が起きる物語ではよくあるパターンの話です。しかし、この作品の興味深いところは、登場人物がこの異常な事態を極めて冷静に受け入れることにあります。

主人公のザムザは自分が巨大な虫になってしまったということに対して、絶望したり、どうすれば元に戻るのか悩むことはなく、むしろ虫としてどう振る舞えばよいかを考えていきます。ザムザの家族も、ザムザが虫に変身したという事実に対して、それを嘆くことはせず、これからの生活をどうするかという現実的な問題に対処していきます。
このような登場人物のある意味前向な(?)姿勢は、理不尽な状況を悲しく陰惨なものでなく、どこかユーモラスなものにしています。

虫になったザムザの描写や家族の冷たい態度もどこかコミカルに描かれていいるので物語が悲劇であるということはあまり感じさせません。
作品のラストは悲しい結末を向かえますが、それも決して絶望的なものではなく、希望が存在していることを示す描写もあります。

作品を読み終えたとき、自然界の視点で見れば、人間として生きるのも、虫として生きるのも、実はそんなに変わらないものではないかとも思わされる不思議な作品でした。

ちなみに、もし私が変身するとしたら、ネコになりたいです。もし自分がいなくなって悲しむ人がいないとしたら、人間だった頃のことを忘れて、そのままネコとして生きるのも悪くない気がします。

【12月書評】ドラクエ式 自分の強みを知る冒険


2013 . 12 . 17 21 : 00  コラボ企画「あいつむぎ」
どうも、ヒメです。

今日はあいつむぎ企画の書評更新DAY☆ですので、張り切っていきますよーーーー!!!

今回ご紹介いたしますのはコチラ。

ドラクエ式自分の強みを知る冒険ドラクエ式自分の強みを知る冒険
(2013/11/09)
神谷悟

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”自己分析本じゃねえかwwww”
はい、ご指摘ありがとうございます。
そうです、就活生だしちょうどいいでしょ()

この本、実はこないだ東京に行ったときに買ったのですが(天狼院書店という、めちゃめちゃいい本屋さんが池袋にあるんです)
そこの店員さん(インターンだそうで、ヒメと同じく就活生)に勧められました。


さてさて。
少し前に、ドラクエ1のアプリがタダでDLできるぞ!!!!って話題になりましたね。
私もちゃっかりやりました!

とはいえ、ドラクエって初期はまだ仲間とかできないですよね。
どの辺から仲間増やせるんでしたっけ……詳しい人教えてください。

まあそれは置いといてですね。
要は、人間誰でも適職があるよねって話です、この本。
MPほとんどないような戦士が魔法使いの代わりに回復役務めるとか意味分かんないし、
逆にHP低い魔法使いがガンガン攻撃に出て行くのも訳分かんないし。
人にはそれぞれ向き不向きがあってですね、という、いわゆる自己分析本です。
よくある、やつね。

ただし、よくある自己分析本と決定的に違うのが、
この本にはストーリーがあるということです。
ちゃんと主人公もいればサブキャラ(仲間)もいれば、モブまでいるんですよ。

主人公はお約束通りに勇者なんですけどね、彼が王様に呼ばれて
魔王を倒すために力を貸してくれって言われるんですよ。
王道過ぎでしょ、もう。
それから主人公、実にドラクエなストーリーに乗っかっていきます。
で、その時々の決断や苦悩を通して、読者も一緒に悩んで、
自分はどういうタイプなのかを考えていくというものです。

自己分析本って、飽きちゃうじゃないですか。
なんか似たような質問と、誰にでも当てはまりそうな気さえする解説の連続で。
でもこの本は、ストーリーがあるからとりあえず読み通せるんです。
質問にまともに答えるかは別にしてもね。

でもね、読み通せたら、やたら気になるんですよ。
「もし自分がこの世界にいたら、何になれるんだろう」ってね。
この本の世界で適性を測れる職業は、
勇者、戦士、魔法使い、僧侶
というベタなRPGキャラだけです。
しかし、このキャラが現実世界においてどのような力を発揮できるのかを
きちんと解説で示してくれているので、ちゃんと自分の今に反映できます。
どのキャラもストーリー中で見せ場があるので、自分の適性を知ってから読み返すのも面白いですよ。

ちなみにヒメは勇者と戦士と、完璧に同率だったので2つとも適性ありらしいです。
魔法使いか僧侶になった方は、ヒメをパーティに誘ってくださいね(笑)

ではこの辺で。

お求めは大阪市立大学生協書籍部シェリーにて!