書評《二日目》


2012 . 01 . 03 00 : 53  書評

 書評連載とかなかった
 年末年始とか忙しすぎるんだよ、ばーか!


 新年明けましておめでとうございます。土暮次郎でございます。
 普段暇な僕でも、年末は師走という名の示す通り、実に多忙でした。
 とはいえ、本当に忙しいのは大晦日、元旦の前後2日ばかり。
 これからはまた暇な日がやってまいります。

 新年の挨拶はこれくらいにして、さっそく本編へ
 ※多少のネタバレを含みます





                《あっぱれ! 天下御免》

 Baseson 様から販売されているアダルトゲーム。つい最近発売されたばかり。
 江戸時代の各種逸話や物語をコンセプトとし、登場人物もそれになぞらえたものとなっている。
 なんとシナリオライターが11人、イラストレーターが7人という大所帯で製作されており、
 購入前から、多様性に期待を持つ一方で、統合性に懸念を抱かざるを得なかった。

舞台背景

 舞台は、大江戸学園という東京都所有の離れ小島に建設された総人口10万人擁する学園。
 バブル崩壊により衰退した日本を導く人材を育てることをモットーに、徳河創雲により創始された。
 乙級、甲級(いわゆる中等部、高等部)による6年制で、地形条件から生徒は必ず離れ小島に住むこととなる。
 離れ小島1つが丸々学園都市として経営され、水道や電気などのインフラ以外は全て生徒によって管理されている。
 学園生徒は、自立心向上の為、何かしらの学園内での仕事に就くことを義務とされ、顎の動き一つで10万人の生活を左右するような大経営者から、丁稚奉公まで、現実社会と職業事情は変わらない。

 学園都市の経営は、最低限のラインでは教師陣が行っているが、財政から裁判まで、全て学園の生徒によって行われる。

 将軍…いわゆる生徒会長。ただしその権限は大江戸学園全てに対して効力を持つ。
 老中…主に学園都市の財政を管理する。直属の下部組織に火付盗賊改方を持つ。
 町奉行…北町奉行所・南町奉行所に分かれ、学園の自治を担当する。(裁判はここで行われる)
 剣徒…帯刀(無論、刃は抜いている)を許された上層部の生徒。家柄や能力により帯刀を許可される。学園の運営に関する役職に就くことが多い。剣徒の一部には剣魂というデジタル仕掛けの従者を持つ者がおり、制限は設けられているものの、大方自由に剣徒をサポートする。

 などのような様々な役職が存在し、生徒らによる生徒らの為の生徒らの学園運営が成立している。


ストーリー

 主人公、秋月八雲は甲級から大江戸学園に転入することとなる。
 これは普通ありえないことであり、初めは多くの生徒の驚きを集めた。

 八雲は与えられた元茶店を改装し、再び茶店を経営する。
 が、その建物が空き家であったのには理由があった。
 その土地にて出店を計画する悪徳商人により、不良者の乱暴が多発しているのである。
 そこで八雲が用心棒として、徳田新を雇い、茶店を営むこととなる。

 営業妨害をしていた悪徳商人を成敗した八雲と新は、さる理由により将軍不在の大江戸学園の治安の低下を慮り、目安箱なるものを設置する。投書は日を増すごとに増え、生徒会執行部の政治に疑問を抱くこともしばしば。

 そんな不安の中、学園祭が催され、八雲は辛くも一位タイの結果を収め、その名を学園中にしらしめることとなる。またそれと同時に、生徒会執行部老中、酉居葉蔵の恨みも買う。

 しばらく経ち、八雲が一経営者として物価の上昇を感じ始める。これには何か訳がある、と踏み、大商人越後屋と南町奉行所の協力の下、秘密裏に調査に乗り出す――

 相次ぐ学園内における事件事故、そして五人組の事件がトリガーとなり、ついに学園内において、一般生徒らによる反乱が蜂起する。首謀者、由比雪那の猛攻により一時は学園転覆も危ぶまれたが、主人公らの活躍により事態はなんとか沈静化する。

 しかし、問題はこれだけでなかった。由比雪那の反乱により学園内の治安は底の見えるくらいに低下する。見かねた徳河詠美は、ただちに将軍の座に就き、様々な政策を打ち立てる。とはいえ、この政策は治安の回復にはいくばくかの効果を見せたが、それ以上の反感を買うこととなる。
 政策に弾圧される一般生徒らは何を思うか――


キャラクタ

 秋月八雲…主人公。几帳面で丁寧な性格。暴走しやすい新のストッパーとなることが多い。実は剣道の才能がある。

 徳田新…メインヒロインその1。熱しやすく冷めにくい。天真爛漫で悪を許せないタイプの性格。徳田新というのは偽名では、本名は徳河吉音。徳河家の正統な跡継ぎで、次期将軍第一位。本人はそれを嫌って、市井の生徒に紛れている。ご飯大好き。元ネタは徳川吉宗。目安箱とか、ご飯とか。

 徳河詠美…メインヒロインその2。熱しにくく冷めにくい。能力やら色々な面で新に負けているので、彼女に対して敵愾心を燃やす。なんでも一人でしようとする。「和」の権化のような普段の出で立ちだが、実は洋風の物をかなり気に入っており、皆のイメージを壊すまいと、「和」を貫こうと頑張っている。意地っ張り。元ネタは徳川家光。

 水都光姫…生徒会執行部の人間でありながら、お供を連れ、学園中を練り歩く。年齢としては主人公の一つ上のはずだが、泰然自若とした人生観は妙齢のそれとさして変わらない。食べ歩きが趣味で、グルメ評価雑誌を密かに出版している。元ネタは水戸黄門。実は印籠を隠し持っている。

 遠山朱金…北町奉行所の長官。職務の時は真面目な顔をしているが、その正体は博打大好きの遊び人で、隙を見ては仕事を抜け出し遊びまわっている。竹を割ったような性格で人情に厚いが、実は頑固。元ネタは遠山の金さん。お白州における、あの大立ち回りも再現されている。

 逢岡想…南町奉行所の長官。柔和で仏の逢岡の異名を持ち、また機転の利く性格。ただし生徒会の下部組織という意識も強く、自分を押し殺すことも多い。新とは親友。八雲についても何かと世話をやいてくれている。元ネタは大岡越前(大岡忠相)。大岡裁きも健在。若干茶番めいているところもあるが。

 鬼島桃子…学園一と名高い剣の腕を持ちながら、どこにも属さず、ボロ長屋暮らしを楽しむ浪人。正義感が強く、新と馬が合う。貧しい一般生徒の味方で、頼まれればその膂力で以って悪を成敗する。元ネタは桃太郎侍。桃太郎なのに、普段使う武器はなぜか金棒。

 子住結花由真…主人公のお隣のカフェ「ねずみ屋」を営む三姉妹。結花は母性あふれるお姉さん、由真はいわゆるツンデレ。唯はいわゆる天真爛漫娘。その正体は、悪徳商人を中心に盗みを行う義賊「怪盗猫目」。実は、何か探し物があるとか……。元ネタはネズミ小僧。小娘

 銭型真留…北奉行所の岡っ引き。朱金のお気に入り。正義感は強いが、生徒会の政策は全て正しいと頭から信じ込んでいて、型に嵌った性格。朱金と反りの合わない部分も大きい。それ故に、朱金のストッパーとして日々努めている。元ネタは銭形平次。銭投げます。剣魂はシックス・ピストルズの9匹ver.。四もいます。

 長谷川平良…火付盗賊改方長官。老中直属の組織長官なので、職務を全うを第一とするが、元は不良で融通の利く性格。非常に男前な性格であるが、実はスイーツ大好き。とある事件から朱金とは仲が悪く、顔を合わせるたびに喧嘩している。元ネタは鬼平犯科帳の主人公長谷川平蔵。

 佐東はじめ…越後屋の用心棒をしている。腕は非常に立つ。なぜか普段は目隠ししていて、動の気配や音などから周囲の状況を判断している。一方で、動いていない物に対しては剣魂のサポートなしでは、つまづいたりぶつかったりする。元ネタは座頭一。実は、ざとうはじめと読むのかもしれない。

 仲村往水…南町奉行所の同心。昼行灯のように振る舞い、仕事をさぼったり飲食代をもみ消したり、いい加減な人間を演じているが、暗い裏の顔も持ち合わせる。金を貰えば、綺麗事を排除し、あらゆる依頼をこなす必殺仕事人。元ネタは必殺仕事人の中村主水。剣魂も、センとリツの二匹。

 五十嵐文…クラス不明の風来人のような格好をした無愛想少女。ザ・ブアイソウ。その癖、喧嘩だけは吹っかける。腕は立つし、よく分からないので、不気味がって誰も近づこうとしない。実際は、学園で失踪した兄を追って密入国(密入学)した、どこのクラスにも属さないイェーガー。元ネタは木枯らし紋次郎。しらん。

 眠利シオン…剣の腕が立ち、女好きということ、そして怪しい雰囲気ということ以外は謎に包まれている影の剣徒。桃子と並々ならぬ因縁があり、彼女に対してのみ非常に好戦的。最強と謳われる輪月殺法を操るが、何故か桃子には効かない。実は留年している。元ネタは眠狂四郎。これもしらん。

 大神伊都…本来は良い家柄の出だが、度の極まった変人。その名は変人ということで学園中に響き渡っている。本名を嫌い、拝神夜(おがみないと)と呼ばないと怒る。変人でありながら、善と悪はけして真理ではないという人生観を持ち、金こそ信じられるものと言う。金を積まれればどこにでも付く用心棒。元ネタは子連れ狼の拝一刀。普段はベビーカーのようなものに剣魂(ダイゴロー:通称ダイちゃん)を乗せ、遊行している。

 刀舟斎かなう…非公式の養生所を切り盛りする女丈夫。気風がよく姉御肌だが気性が荒い。喧嘩による怪我人を治療する一方で、喧嘩している者らを成敗しにいこうとする。荒事の多い主人公らもよく世話になっている。元ネタは破れ傘刀舟悪人狩りの叶刀舟。なんぞこれ。

 八坂平和久慈信乃甚内つばめ…ヒーローに憧れる少女と、ハードボイルドに憧れる少女と、それを眺めるのを楽しんでいる少女の三人組。学園内の事件を解決しようと日々奮闘している。元ネタは三匹が斬る!

 八辺由佳里…光姫の御付の一人。光姫以上に食べ歩きが大好きで、一度食べた物と店、味は正確に記憶している。元ネタはうっかり八兵衛。

 じごろう銀次…光姫の御付の一人。忍びの者。その実、某国より大江戸学園の調査のために派遣されたスパイの一人。元ネタはかげろうお銀。

 柳宮十兵衛…学園の剣術の指南役。学園一と名高い腕前の人間4人を相手にしても一歩も退かない程の腕を持つ。師範として八雲の剣術を教える。伊都と光姫に何らかの因縁がある。ストーリー後半で大事になってくるキャラクタ。元ネタは柳生十兵衛。

 比良賀輝…主人公のクラスメイトの一人。機械いじりとアナーキーな新聞発行が趣味。大型ロボットの開発に日々専心している。元ネタは平賀源内。剣魂もエレキテル鰻という。

 由比雪那…乙級の生徒たちのための私塾を開いている。が、本当は反乱のための私兵を揃える為に、自身の思想を乙級の生徒に刷り込んでいた。手段はともかくとして、学園を改革したいという気持ちに偽りはなかった。元ネタは寛永風雲録の由比正雪。誰だよ

 越後屋山吹…学園内の物流を司る大商人の内の1人。高慢ではあるものの、商才は本物で巨万の富を持つ。とある事件をきっかけに主人公を気に入り、よく肩入れしている。元ネタは越後屋。

 酉居葉蔵…生徒会執行部老中。出自を鼻にかけており、八雲を筆頭に誰もが嫌っている。見た目も大事として、生徒会の力を見せ付けることも多い。それ故に失敗する。元ネタは鳥居耀蔵。

その他、様々いるが、今回は生徒の紹介だけにとどめておく。

以上





総評:いわゆるキャラゲー。キャラクタの多さを売りとしている。が、キャラクタがあまりにも多すぎるのと、シナリオライターが多数執筆しているので、キャラクタの性格が場面によってブレを見せたり、設定に綻びがあったりするのが玉に瑕。また、各々のシナリオも薄くなりがちで、運用されていない伏線や設定なども多数ある。
   この一作ではけして良い評価をすることはできない。キャラクタの性格・設定を補完するFDの発売に期待する。


文責:土暮次郎




これは文句を言われても仕方ない。

これだけ幅取っといて、何してるん。

先に謝っておきます、すいません。

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